3回目の入院(14)流動食で太るのは心外
手術前の流動食イヤイヤ騒動、手術後の流動食イヤイヤ騒動(その2)と、なにかと流動食で手のかかる患者ですが、また流動食イヤイヤ騒動(その3)をやりました。
私の流動食は、1食あたり600キロカロリーありました。
1日当たり1800キロカロリーになるわけですが、これは恐らく、私が日常取っていた摂取カロリーの平均を上回っています。
ビッグマックが556キロカロリーらしいですから、朝昼晩、ビッグマックを食べるより摂取カロリーが多いのです。
私は日常的に食べるものは、だいたいのカロリーを知っていますから、1食600キロカロリーの豪華さを知っています。
ポテトチップス1袋食べてもまだ余る
握り寿司1人前が食べられる
オールドファッション2個!
……etc
普段、控えめにしているものがとめどなく出てきます。
もちろん、流動食の600は栄養バランスの取れた600ですが。
この病院では、老若男女関係なく、成人・食事制限なしなら1800キロカロリーと一律に決まっていたのでしょう。この後に行くリハビリ病院では、細かく分かれていましたが。
点滴約10日の後、手術してまた点滴が1週間くらい。1日1200キロカロリーしかない点滴で、約3週間。体感的に多分4,5キロ痩せました。
そして流動食になってしばらくすると、徐々に体重が戻っていくのが分かりました。動かないで横になっているばかりですから当然です。
車いすで付き添い付なら院内をうろつく許可が出て、昼食後、車いすを押してもらって病院の庭へ散歩に行きました。食べてすぐ――というか流してすぐ動いたせいか、流動食が口に少し戻ってきました。胃に一度入っているものですから、吐いた時と同じ味です。気持ち悪い。
散歩のつもりで外に出たのですが、気持ちが萎え、早々にベッドに戻りました。
だいたい、点滴や流動食は、時間きっちりの病院食と違い、看護師さんの作業の都合で、早くなったり遅くなったりします。
朝6時前に繋がれることもあれば、忙しくて8時過ぎにやっと繋いでもらうこともあります。(朝食の時間は7時半です)
その日は、朝は遅めで昼は早めでした。だから、胃がたぷたぷだったのだと思います。
味も食感もない流動食なのに、吐くときは吐いた味がしっかりする(むか
食道の入り口の開閉が正常じゃないから、体を起こしていても戻るのね(残念
おいしいもの選んで好きなように食べて太るなら、自分の意思で太ってる、でも流動食は私の意思じゃないのに、延々続けたらいつか元の体重超えるだろうし、味しないし、食感ないし、でも無意識に戻ってきちゃうし(吐いちゃうし)、吐くとまずいし、なんなのよっ……
ということで、イライラして、夕食の時間になりました。これがまた、嫌な看護師さんに、なんか嫌な態度とられたので
スイッチが入って
(以下、私の声は文字盤です)
――イヤ。いらない――
しゃべれないながらも、流動食をつなぐ入口を手でふさいでボイコットしました。
看「え? いらないの」
私――ふさいだまま、頷く――
看「具合悪いの?」
私――違うけど、イヤ――
看「どうしたのう? 栄養取らないとだめだよ」
私――いらない――そして、手でふさいだまま、背中を向ける
看護師さんは「困ったねえ。先生に相談してみるねえ」と言って出て行きました。
1時間ほどしたころ、仮名:財前先生(の総回診です、みたいのがマジであるんです)の次に脳外で地位の高い先生が来ちゃいました……
焦りました。私の担当医は当直ではなかったのでしょう。
普段は関わらない先生でしたが、
医「食べたくないの?」
私――は、はい(汗 ――
医「なんで嫌なの? 気持ち悪くなった?」
そうだ。それを理由にしよう、と思いました。
私――多いです――
医「じゃあ、大丈夫なだけ落とそうか? 嫌になったら、終わりにしていいから。それならいい?」
私―― ……うなづく ――
その日は流動食の容器の半分に行くくらいで外してもらいました。
次の日、担当医はその件を聞いてから来たらしく、「そうか。あんこさんには多いかなあ。たしかに多すぎると戻ることもあるし。今後は、やめたくなったら止めていいよ。看護師さんに話しておくから」
――となり、そのあと、私の容器には「本人に量を聞く」と書いたシールが貼られ(笑)私はたいてい、半分にしてもらいました。
いえ、流動食はカロリーメイトみたいなものですから、栄誉バランスが良く、なにしろおなかがすかない。(点滴もですが)
病人で、嚥下も悪いとなったら、ありがたく頂くべき栄養ですし、第一、我ながら、なぜここまで流動食が嫌いなのでしょう?
多分、流動食自体が問題なのではないのです。
まず、流動食は、食いしん坊の「私が食べられない事実」の象徴で、その事実が疎ましい。
そしてあれこれ理由はこじつけてますが、日に日にたまるいろいろなストレスを爆発させたいときに、ちょうど流動食があり、それをターゲットに置き換えて、聞き分けのない駄々っ子のようになってガス抜きをしていたのかもしれません。
すみません(←あんまり悪いと思っていない)
蛇足:
この病院では週に二回「財前先生の総回診です」がありました。
アナウンスがあって、ザッザッザと足音が近づいてきて、ほんとにあのまま。
研修医などがぞろぞろ財前先生を先頭にして病室に近寄ってきます。正直恐怖です。
カーテンをシャーとあけられ、医師に囲まれます。
担当医「あんこさんおはよう。こちらの患者さんは脳幹部海綿状血管腫で専門用語羅列」
財前先生「あんこさん、調子はどうですか?」
私「あ、だ、だいじょぶです(から早く帰って)」
周囲の医師たち(検体を見る目)
私「ガクブル(ラットのような気持ち)」
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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。
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