新あんこのログ

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脳出血(脳幹延髄小脳)障害2要介護2

3回目の入院(番外)病室でお経を唱えないで

2回めの入院でもいろいろな人がいましたが、2回めの部屋は比較的軽傷というか、後遺症が残らないような人ばかりでした。
今回は2回めの部屋より重い人が集まっている部屋だったので、また違う感じの印象に残った人を記録しておきます。

<お経を唱えるのはやめて…>

後遺症を持った人は急性期、回復期とも「なったもんは仕方ない」という感じのタイプと、チョー悲嘆にくれるタイプの人がいます。
前者のほうが、意外にも多く(私もこっち)、「私はこうなのよ~」等と、自分の症状具合を見せ合ったりして、わりと明るく話していました。

「病室でお経を唱えるのはやめて」みたいなタイトルのドラマがありましたよね。観ていないので内容は知りませんが、私の病室にもいました。
片麻痺の後遺症になったようですが、知る限りほかに後遺症は残ってなさそうだった「チョー悲嘆にくれる」タイプのおばあさんです。
夜中一度トイレに行ってから(看護師さんに連れて行ってもらって)眠れなくなったらしく、何度も「はあ…」「なんで、こんな目に…」と独り言と、ため息をついていたのですが、とうとう真夜中にお経を唱え始めました。

ナンミョウホウレンゲーキョーーナンタラカンタラ~~~~

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いやマジで勘弁して……

前も書きましたが、この病院で不思議なものを何度も見ましたし(幻覚かもお知れませんが)私自身、これまでにも何度か不思議な体験はしているので、心霊系は基本信じます。ただ、霊感が強いわけではないし、どうにかできるわけでもないので出てきちゃったら怖いです。
気分的に「お経唱えると、成仏したい魂が集まって来ちゃうんじゃない?」という予感がして、すごく怖かったです。
あんまり長いこと続いたら、看護師さん呼んで「夜中だから静かにしてもらって」と言うつもりで、ナースコール片手に、押すかどうしようか悩んでいるあいだにいびきをかいて寝始めました。

 

<個人情報丸出しで看護する娘さん>

隣の個室に、脳梗塞誤嚥性肺炎で意識混濁のおばあさんがいました。娘さんは朝から晩まで見舞っていて、なんとかお母さんを回復させようとしていました。
そのため、声がけを続けていたんでしょうが、とても献身的だとは思いつつも、内容が……

「お母さん、なまえは?」
山田花子でしょ。言って。 言えない? じゃあ、私は?
娘の山田玲子でしょ! 覚えてない? あ、それはわかるんだ。よかった」
「じゃあ、うちのお店の名前は?」
山田商事! 言える?」
〇〇駅前! 山田商事! わかる? やーまーだーしょーじー!!
「じゃあ、住所は? 〇〇市XX町1-2-3ね! わかる?」


隣の部屋からです。
全部聞こえていました。
毎日それが続くので、失礼ながらスマホで検索しちゃいました。
確かにその住所に山田商事さん、ありました。

いや、意識不明ではなく、やや反応があるからこそ、意識を取り戻そうと、周囲なんかかまってられない、身内の愛なんだなと思いました。

  

<職業だけすっぽり抜けた人>

40代くらいの女性が、脳出血で入ってきたのですが、見るかぎり身体的な後遺症はなく、言葉もはっきり意識もはっきりしていました。
名前も言えるし、ご家族がお見舞いに来たらちゃんと全員認識していて「びっくりしたわ。気づいたら病院なんだもん」と普通に話す。
しかし彼女は、職業だけすっぽり抜けてしまったのです。
どんな職場でどういう職種でなんの仕事をしていたのかを家族に言われても「あれ? そうだっけ。まったく思い出せない」という感じでした。
倒れたのは仕事場だったそうですが、思い出せない。

他に忘れていることもあったかもしれませんが、そういう忘れ方もあるんだ、とその時知りました。
高次脳機能障害の一種だと思いますし、時間が経つと思い出すこともあるようなので、その後思い出せてたらいいんですけどね。

  

<聖書を抱いて寝る>

フィリピン出身で、日本で結婚し、脳出血で倒れた30代のお母さんがいました。彼女も片麻痺でした。
私の前のベッドで、日本語が片言でかわいいし、なまえもかわいかったので、名前で呼んでいました。
仮名アリシアちゃんとします。
アリシアちゃんは、いつもポーチを抱いて寝ていました。

私「アリシアちゃん、それポーチ?」
ア「ウン」
私「大切なものが入ってるの?」
ア「ソウ。セイショ」
私「あ! 聖書か。アリシアちゃんフィリピン出身だもんね。カトリックなの?」
ア「ソウダヨ。でも旦那チガウ。キョウカイハヒトリデイク」


リハビリ室では、別病棟の知らない人にめずらしそうにみられたりしていて緊張気味にしていたのですが、私が「アリシアちゃん」と手を振ると、はにかんで手を振るかわいい子でした。

  

<幼くなる皆さん>

これは複数の人に見られたのですが、最初は「すみません。トイレ行きたいんですけど……」と言っていた人が、意識がはっきりしてきているのに、態度はなぜか徐々に退行し「おしっこ」とか、「おっきいほう」→「ウンチ」とか言うようになるのです。
初期、意識がはっきりしない頃から、看護師さんが子どもに話し書けるように、「おしっこ? うんち?」と短文で話しかけるから、徐々にそうなってしまうんでしょうかね。

 

 

次回から、リハビリ病院のことを書きます。

 

 

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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。

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