新あんこのログ

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脳出血(脳幹延髄小脳)障害2要介護2

介護保険の認定調査:介護保険の理想と当事者たちの現実

(この記事は、2020年1月に少しリライトした内容です)

 

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 厚生労働省が発行している「介護予防マニュアル」(平成24年3月)で、「介護予防の定義と意義」は以下の書き出しでで始まっています。

 ※2020年1月時点で平成24年3月改訂のこのマニュアル以来、変わっていません

介護予防とは要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐことさらには軽減を目指すことと定義される。

(1ページ 第1章 介護予防について 1-1 介護予防の定義と意義)

  

 そして、「介護予防が目指すもの」は、

 

介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養状態といった個々の要素の改善だけを目指すものではない。むしろ、これら心身機能の改善や環境調整などを通じて、個々の高齢者の生活機能(活動レベル)や参加(役割レベル)の向上をもたらし、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取り組みを支援して、生活の質(QOL)の向上を目指すものである

(1ページ 1-1-1 介護予防が目指すもの)

 

 

 とあります。

 

  

 介護保険制度で認定してもらうためには、まず認定調査員の訪問調査を受けます。

 認定調査員とは、このような人です。

 介護保険認定調査員とは

 

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その時の調査項目は全国統一です。

シミュレーションできるサイトがいろいろあるので、認定調査前にやってみるのもいいいかもしれません。

私は以下サイトを試しました。

平成21年度版 要介護認定 一次判定シミュレーション

これを見た時点で、なんというか私には、なあんか違う。

なんかずれている感じがしてしまいます。それこそが「第二号被保険者」だからなのかもしれません。

ストレートに言うと、後期高齢者の体力の衰え、認知の低下具合を判定しているのです。

介護保険制度ができてか障害者福祉と被る部分は、高齢者ではない障害者も、まず介護保険サービスを受けるように適用範囲が変わったようです。

ちなみにセルフチェックで、私は「介護2」なんですけどね。実際の認定調査で、はたして、どういう結果が出たのか……

  

認定調査員の方は公的機関から委託を受けている民間の方のようですが、湯呑みで出したお茶すら辞退する、公的仕様です。

認定調査員としてはベテランのような風格、安定感がありました。

 

認定調査員の方は、

「たしかに介護保険制度は、必要とされる方にマッチしていないと思うケースが多いのです。でも、私にはそれをどうこうする権限はありませんから、私の立場では、よく状態をお聞きして、公正で適切に評価会に報告するのが務めです」

という感じでした。

 

すべては晒せないので、一部のやりとりを書きます。

介護保険制度や認定審査そのものに疑問を呈したり批判しても、たしかに認定調査員さんがどうすることもできないことなので、基本的にはあまりそういうことは突っ込みませんでした(少しは言いました)ので、心の中の声も書き入れています

 

 

私「外には出られません。家の中は壁伝いに歩いています。一人の昼間は、トイレなど最低限の移動しかしません」

調「お年寄りの中には、這って移動してる人もいるんですよ」

私「それも、自分で移動できることになるんですか?」

調「そうなんです」

 

――つか、そのお年寄りは畳の間で低いところで生活してるからでしょ。私はそもそもしゃがめないんだけど。うちも昔の家屋で畳生活床座りなら、這ってるわ。むしろその方が楽だわ――

 

 

調「食事は?」

私「朝は食べません。昼はトーストのみ。夜はお弁当を頼んでいます」

調「食べるのは自分でできますか?」

私「前はリハビリだと思って、箸とか使ってたんですが、今はそれが下手になってしまって。夫が見かねて口に運んでくれることがほとんどになりました」

調「昼ごはんは自分で食べてるんですか?」

私「昼は一人なので自分で食べてます」

調「自分で食べられるんですね?」

私「だからトーストなんです。ご飯は落としてばらけたら拾って食べられないし、掃除も出来ません。パンをトーストするのは柔らかいとつぶすし、持つのに不安定なんです。焼くと固くなるし、落としても拾えますから」

調「拾って食べてるんですか? 焼くのは自分でできるんですね?」

私「はい。焼くのはスイッチ押すだけですから」

 

――っていうか、朝食べない、夜食べさせてもらうより、『昼自力でトーストを食べる』が判定にかける材料なわけ? 何カ月もトーストだけだよ? 栄養偏りまくりだよ? 落としたの拾って食べてるんだよ? 昔の乞食(放送禁止用語)みたいな食事でなにがQOL――

 

 

調「着替えは?」

私「自分でしてますけど、ボタンやチャックのない被りのものばかり着てます」

調「ボタンとか出来ない?」

私「前よりできなくなりました。1個止めるにもすごく時間がかかって困難になっちゃいました」

調「そこがね、(審査会から)確認とられるんですよ。『出来ない』のか『出来るけど困難』なのか」

私「じゃあ、してないので出来ないにしてください」

 

――ずれてるわ…審査するとこずれてるわ。どこがQOL――

 

 

夫「明らかに症状が後退してきてるんですよ。今はまだ動けてるけど、このままじゃ、寝たきりまで落ちることもあるかもしれないし」

調「はい。おっしゃることはよく分かります。でもあくまで『現状で評価』をするんです。今後悪くなることは想定されても、あくまで現状なんですよ」

 

――定義は「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」じゃないのかね? 私の解釈間違ってる?――

 

 

私「結果はどれくらいで出ますか?」

調「それはねえ、言っちゃいけないことになってるんです。混んでるとそれより遅くなってしまう場合もあるのに、催促の電話がかかってくるって」

 

――だからお役所仕事って言われるんだよ。一般企業は納期決めなきゃいけないし、決めた納期に間に合わせるために何日も泊まり込んで間に合わせたり、それでも間に合わないときは、謝るんだよ。納期前に謝るのが普通よ。催促の電話すら受け付けたくないのか? やっぱこの人たち、ずれてるわ――

 

 

あと審査に必要なのは医師の意見書になるのですが、これが結構重要らしいですが、定期的に受診していれば、介護認定のために改めて受診して書いてもらうことはありません。行政から直接医師に依頼して提出されます。

ぶっちゃけお医者様は現状の生活を知りません。

「かわりないですか?」「目が開きにくいんですけど」「じゃあ、眼科に予約入れましょうか?」「はい」「お薬はいつもの通り出しておきますね」……程度で、診察はせいぜい5分です。立ったり歩かせたりして、回復具合を見たりはありません。

発症から急性期の状態を知っていても、回復期、維持期の状態は知らないし、こっちから言わない限り、恐らく知る気もないでしょう。彼らの仕事や興味はそこにないんですから。

リハビリのことも、あまり関心も知識もないと思います。未だ「半年過ぎたらほとんど治らない」というお医者様もけっこういるようです。

 

一番分かっているのは担当のセラピストさんたちですが、これらの人々に介護認定を評価する権利はありません。

医師の意見書よりもセラピストの意見書こそ、現状に近いのに。

  

とはいえ、私がこの後遺症と向き合うために多くの人が関わります。主治医、ケアマネ、複数のセラピスト、車いすのレンタル会社、介護認定の調査員、認定審査会の審査員。

介護サービスの中で、定期的な担当者会議は開かれますが、いざ開いてみると、横は繋がっているようで、ほとんど繋がっていません。お互い知らないことをその場で共有しています。しかしどこか「よそのことは関係ない」ようにも見受けらます。

 

認定調査では「前回の介護認定はいつでしたか?」「担当ケアマネはいますよね?」「今はどんなサービスを受けていますか?」というようなことも聞かれました。

それくらいのことは当然情報がいっていると思ったら、情報共有されていませんでした。

個人情報の守秘はもちろん大事ですが、どの担当でも必要な基本情報を、なぜ共有しないのでしょうか?

  

そもそも論を始めると、それだけで一つのカテゴリーが必要なくらい記事量が増えそうなので今はやめておきますが、折に触れて、記事にしていきたいと思います。

国が決めて厚生労働省が管轄し、各自治体の行政機関が運営しているものに、個人でクレームや意見をしても力はありません。

ケアマネや認定調査員に言っても、彼らにもどうすることもできません。

だからと言って、仕方ない、とだまっているのではなく、こうした記事にすることで、同意する人が我もと声や記事に出してくださったり、関連機関の心ある方が目にしてくれればと願いながら、こういうことも書いていきたいと思います。

 

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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。

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