新あんこのログ

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脳出血(脳幹延髄小脳)障害2要介護2

脚が、手がダメになったんじゃない。その障害は脳が原因です。

以前、テレビで「2か月で片麻痺が回復した」という内容をやっていたので、脳疾患後遺症を持っている人、特に片麻痺の方は観た方は結構いると思います。

 

再現ドキュメントはお芝居なので現実と違うなと疑問に思うことも多かったですし、片麻痺の程度もはっきり分からなかったので、あの番組を観て、安易に「真剣に一生懸命やれば戻るんだ」と思っていいとは思いません。特に再現映像の患者さんは片麻痺で手が動かないと言っていましたが、役者さんのせいか、実際そうだったのか(でもこれは実はすごく気になる点なのですが)麻痺側の手が動かないだけで、よくあるように握り締めた状態ではありませんでした。

私は片麻痺ではないので、やはりあまり語れる立場にはおりませんが、少なくとも私が知っている限り、片麻痺後遺症を持った大多数の人が「握り締めてしまって使いようがない手」に困っています。

 

実際、何人かのPTさんやOTさんに聞いた感じでは「歩行は筋力や力をつけて、歩行慣れしてくればある程度、実用レベルまで、早めに回復するが、手の握りや、指を使う回復は目に見えた回復が少なく、回復するとしても相当時間もかかる」と言っていました。

 

片麻痺に限らず、手や指先の疾患(脳が原因による)は、治りにくいのが、どうやら当然のようです。

以前OTさんに見せてもらった模型を探しました。

 

私たちの脳の中の小人――ペンフィールドのホムンクルスの話

 

見たことがない人も見た覚えがある人も、どうぞ今一度見てください。

 

このページの中ほどにある猿のようなへんてこな顔手足の3D模型を見てください。部位が大きいほど多くの脳神経を使って動いていることを示す立体模型です。

人間の唇、口周囲の機能、視力、そして手、指先がいかにたくさんの神経を使っているかが分かります。

 

正常に動くようにするためには歩行のリハビリのようにはいかないのは当然なのだ、と納得します。

 

だからと言って諦めるのではなく。

 

このテレビ放送で印象に残って頷いたのは、ご本人の友人が励ましに言ってくれたという

 

「手や足が悪くなったわけじゃないだろ。それを動かすに故障があったんだろ」

 

という言葉です。

 

これは後遺症者本人も、もしかしたら専門セラピストもうっかり忘れていることが多いんじゃないでしょうか?

手足がうまく動かなければ、無理な動きをしたり、違うところを代替に使うせいで、へんな痛みや凝り張りなどが手足、体に出ます。

患者が、例えば「肩が痛い、凝る」と言い、セラピストはそこの凝りをほぐそうとしたり、もっと可動域が増えるように施術したり、ということがとても多いと思います。

もちろん凝ったり張ったりしていれば余計に動きは悪くなりますから、こうしたコンディショニングは必要です。固く握ってしまっているてのひらを開くようにまんま、物理的に開く訓練もします。

しかしこれだけでは、本当の原因「それを正常に動かしていた脳やそこに繋がる神経」にアプロ―チしていません。

 

もちろん脳に故障があれば「治せません」から「治すのではなく」、ここで「脳の可塑性」に希望を持ち、脳を新たに使えるよう訓練する必要があります。

それを結構みなさんやっていないんじゃないでしょうか?(私もですが)

 

私が比較的ボバースアプローチが好きなのは、「ここが張る、痛い」とか素人レベルで感じる問題を訴えると、「張っているここはAだね。でも本来そんなに張るはずじゃないところだけど、Bを正しく使えてないからAで代償して無理がかかって張る。Bが正しく使えていないってことはBを動かすのはCなので、Cがちゃんと機能してないってこと。そのCを正常に動くようにつかさどってるのは脳のDの部分。あんこさんは、まさにDがやられてるからそうなる」と、原因から実際に体に現れている不調までを全部説明してくれた上で、Aをほぐしてくれて、Cがちゃんと動くように集中的に見てくれるからです。

 

自主リハビリ法にしても、「指先が使えない」→「ではおはじきをつまむ練習を繰り返してください」ではなく、「指先が使えない、つまめないということは、Aが正常に動いてないから。Aを正常に動かすためにはまずこれをやって~~」と本当にアプローチする部分を教えてくれるからです。

 

ただ前も少し書きましたが「脳に覚えさせる」という意味では、失敗しながらも、やろうとしていることを繰り返し練習することも大事だと思います。赤ちゃんは教えられても理解できません、教えずとも、周囲の動きを見て真似て、自分で何度も失敗したり危ういことを繰り返しながら寝返りが出来るようになり、立てるようになり、歩けるようになっていきます。

テレビでも、そのようなことは言っていました。

 

但し、健常な体を持った赤ちゃんが自力で失敗しながら修正しつつ正しく覚えていくのと、元は正常だったのに長い後遺症状態で、下手に自分で考える知恵を持った大人が勝手に自力で考え、自主練するのはわけが違うと思います。

自己流の自主練は、もしくは間違った自主練を教えられては、どれほど真面目に自主練しても、満足いく形に改善させていくのは難しいと思います。

 

これらを踏まえたうえで、それぞれの方の信じる方法をまじめにやることが改善につながると思いますが、つい忘れがちな「脚が、手がダメになったんじゃない。

 

「障害を負ったのは脳」であることを忘れないようにいることは、とても大事なことだと思いますし、だからこそ、諦めない気持ちが大事だと思います。

 

 

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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。

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