健康で若い人は、高齢者や障害者の気持ちがわかるわけないと思っていいと思う
私が通っているデイサービスは、若い世代の人たちで立ち上げたところです。
若いスタッフは「お年寄りには温かく」、出来るだけたくさんの利用者さんに声がけしようと思っている。
スタッフ「今日のお加減はいかがですか?!」
―― 明るく気遣う声に、利用者さんは笑顔になりながらも今日の不調を訴える。
利用者「腰が相変わらず痛くてねえ」
スタッフ「あー。〇〇さんの場合、どうしても腰に負担がきちゃいますからね」
利用者「そうなんだよ。昨日なんか寝ようとしたとき――」
スタッフ「オー! ××さん! 久しぶりですね~」(――××さんの歩行介助に行く)
〇〇さんが言いかけた言葉は尻すぼみになり、やがて話をやめて、離れたスタッフさんを見ている。
スタッフさんは、××さんに同じような会話をしながら介助が終わると、別の人のところへ行き、〇〇さんに戻ることはない。
以下、振出しに戻る。
デイサービスのスタッフさんは忙しい。やることがたくさんある。
一人歩行がおぼつかない利用者さんばかりだから、作業中でもトレーニング中でもあちこち警戒して見守り、いざとなったら飛んでいく。
忙しくてたいへんなのも分かるよ。
なるべく多くの人の様子を見よう、声がけして楽しんでもらおうとしてるのも分かるよ。
でも、分かり過ぎるくらい、頑張りどころが不自然なのよ。
聞いている話の途中でいなくなるなら、ましてや戻ってこないなら、そんな中途半端な声がけは自己満足にしかならないって、きっと気づいてないんだろうなあ。
解決に至るまで、もしくは利用者さんが納得できるまで、話相手をするつもりで声がけをしましたか?
きっとそこまで想定してない。「声がけすること」が目的になってますね。
だって、利用者さんすべての人に同じ質問をして、それぞれ解決もしくは納得するまで話し合う時間など、正味2時間くらいのデイサービスでは到底無理です。
だったら、気遣うような声がけより、明るい挨拶一言「おはようございます!」のほうがいいんじゃない?
話の途中で去られた利用者さんの、なんとも言えない表情。
ひとり暮らしの人ならなおさら。デイサービスでスタッフや利用者と交流するのは大きな楽しみになっています。
孫ほど歳の離れたスタッフだから。だけど、とてもお世話になっているから。
……と、寂しさでも怒りでもない、そんな表情をしたんでしょう。
この表情にも気づいてないんだろうな。
知らないって罪、とまではいわないけれど、
こういう小さな噛み合わせの悪さが少しずつ重なっていくと、施設、利用者双方にとって、いつか大きなひずみになり、問題となって表面化しそう。
若くても専門知識やその経験があり、勉強熱心でも。
でも、若い世代だけでやっているデイサービスには、なんというか「人」を育てられる上の世代も必要な気がする。
そもそも「お元気ですか?」「お加減いかがですか?」は、「いいお天気ですね」くらいの挨拶言葉なのは分かってる。
だけど、本当に身体に問題を抱えている人は、つい言葉通りに受け取ってしまうんだよ。
健康で若い人は、高齢者や障害者の気持ちがわかるわけない
と思っていいと思う。
「わかるわけない」と思っているうえで、今の「できるかぎり利用者さんに寄り添いたい」という気持ちを持てば、もっとうまく……
つまり、あれだ。
「知らないことがあると知っているだけ私は利口だ」みたいのあったでしょ。あれ。
ぶっちゃけ、謙虚になろうって言いたいのね。
ぶっちゃけ、「俺様、国家資格保持者。ここで一番偉い。ベテランだし、何でも知ってる」という態度の人のことを、言っています。
PTさんとかって、現場経験6,7年あれば、ベテラン扱いが多い分野だし。アラサーはもうベテラン扱い。
訪問リハさんも「この人は経験7年のベテランで~」と紹介されることあるけど、経験年数じゃないんだよな。
新卒でも、すごく理解している、信頼できる子もいるし。
私は経験年数だけでは、判断しません。
とにかく、国家資格持ってても、あなた方が相手する高齢者は、あなた方の三倍くらいは生きてるんだから、国家資格なくたって、人生経験値は三倍あるんだよ。
なめたらいかんぜよ~
*****
☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。
以下、2つ、それぞれクリックしていただけると、ブログサーチでランキングが上がり、結果的に、検索エンジン(GoogleやYahoo!)の表示順位が上がります。 この病気の当事者の発信する情報が少ないので検索でなかなか見つかりません。
ご賛同いただけるようなら、お手数ですがクリックしてください。