新あんこのログ

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脳出血(脳幹延髄小脳)障害2要介護2

3回目の入院(17)看護師さんとのエピソード①嬉しかったあれこれ

3年のあいだに3回(正しくは4回)も入院していたので、多くの看護師さんと顔見知りになっていた3回めの入院でした。

看護師さんたちは、私が元気(入院しながらも)だったころから知っています。

加えて、脳外科病棟で40代は「若い子」に分類されるわけで、「若いのに……」と、憐憫な目で見てくださっている部分もあったと思います。

私の職業の中心層は20代、30代でしたから、若い子と付き合うことに抵抗がなく、親子ほど年の離れた看護師さんほど、友達のように仲良く過ごしていました。

そんな中で、忘れられないうれしかったエピソードをいくつか書きたいと思います。

 

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<前髪を切ってくれた看護師さん>

入院生活も1ヶ月を過ぎたころ、前髪が目に入って鬱陶しくなっていました。切りたいけれど、院内の美容室に行けるほどの状態でもないし、ベッドの上で切っていいか分からないし。

そう思っていた頃、「前髪伸びたねえ、切ってあげようか?」と、看護師さんが言ってくれました。

「いいの? お願いしたい!」と伝えるとベッドを起こして、私にゴミ箱を抱えさせ、ポケットに入っていた工作用のようなはさみで、さくさくと上手に切ってくれました。

「私も、自分の前髪自分で切るから、上手でしょ?」と、カーテンを開けて、ほかのベッドの患者さんや、処置に来ていた別の看護師さんにも披露します。

「あ!似合うねー。若返ったよ」

「すっきりして元気に見えるよ」

などの声をもらいました。

 

嬉しかったです。

些細なことですが、私の不満不便に気付いて、それを実行してくれるのが嬉しかった。

 

この看護師さんは、転院前にもう一度切ってくれました。

 

<怖い看護師さんから最も信頼する看護師さんになった人>

2回目の入院の時からいて、ずっと怖かった看護師さんがいました。

ベテランそうですが威圧感がありニコリともせず、処置に来ても無駄口もほとんどなく、話しかけたり質問するのも怖くて、担当になるとがっかりしたものです。

 

しかし3回目の長い入院生活で、見方が変わっていきました。

その人の処置は確実で、足りないものはなく、今後必要となるものを最低限のチェックで見つけ、先回りして処置してくれるのです。

例えば定期的な歯磨きに来て、「唾液も溜まってるでしょう? 先に取りますね」と、上手にさっさと取ってくれます。

「痰はどう? 咳して」と、まだそこまでではなかったので我慢しておこうと思ったことも聞いてくれて処置し、それも器官に聴診器を当て、ゼイゼイしてないか確認してくれて「まだありそう。もう一度思いっきり咳してみて」と、きれいに取れるまで確認してくれます。

 

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歯磨きも人によってかなりやり方に差があるのですが、嚥下できない私にできるぎりぎりのレベルできれいにしてくれました。

中には歯をささーっと、専用のスポンジで撫でるだけの人もいる中、この看護師さんの歯磨きは歯磨き粉もわずかに使って、泡を飲み込まないように上手に吸引機で吸い込みながら、細部まできれいにしてくれて、一番すっきりしました。

終わると、寝返りを打たせてくれて、アイスノンの温度を確かめ、「そろそろぬるくなっちゃうね。まだ使う?」と聞いて、私が頷くと、新しいアイスノンを持ってきて変えてくれました。

最後に布団をきれいに延ばして「かけていい?」と聞いてくれて、足は出したいと伝えると、そうそうそんな感じです、というように望んでいた通りにかけてくれます。

 

声を出せない私は、ナースコールで呼んでも、一度に1つ以上のお願いをするのは、なかなか難しいです。

たいていの看護師さんは「ほかは大丈夫? 暑くない?」とか聞いてくれますが、看護師さんの中には、唾液を取ってくださいとお願いすれば吸引するだけで、見るからに布団がはだけていても、そのまま行ってしまう看護師さんもいます。

 

2回目の入院では3回目ほど重症ではなかったため、そもそもあまりお世話してもらうことがなく、必要最低限で来た時の印象だけで、なんか話し方ぶっきらぼうだし、にこりともしなくて怖い、と思っていましたが、3回目の入院で寝たきりになり、なにからなにまで看護師さんのお世話を受けてみると、その看護師さんの本領(まだまだすごいかもしれませんが)を見た気がします。

言わずとも、先回りして患者が求めていることや必要なことを的確に素早くやってくれるとは、ほんとにプロフェッショナルなんだなあ、と尊敬し、ありがたく思いました。

 

 

<安全帯を忘れる看護師さん>

私をベッドに縛り付けていた安全帯は「患者の安全のためにするもの」で、安全帯という呼び方をしていますが、看護する側からいえば「危険なことをされないために動きを抑制」する「抑制帯」です。

 

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安全帯はもちろん大嫌いで、なにかにつけ、嫌だという態度を示していました。

「嫌だよねえ、あんこさん、意識クリアだもんねえ。でもドレーンとか呼吸器を、寝ぼけてはずしちゃうかもしれないからね」

と言われていた状態から、頭に刺したドレーンが外れ、呼吸器が外れ。

 

そして経管栄養の鼻の管だけ残りましたが、これも安全帯をしておかなければならないものなので、外すことはできませんでした。

経管栄養の管は、鼻から食道を通って胃に入っています。万が一、引っ掛けて中途半端に引き抜いてしまい、その先が器官に入れば、とても危険です。

経管は流動食を流すとき以外は、水で管を流して綺麗ですし、流動食を流すたびに、先端が間違いなく胃にあるか聴診器などで確認するほどです。

それでも、万が一が重なって器官から肺に入ってしまった場合には死もあり得る危険性がありますから、安全帯をされるのは仕方のないことです。

 

とはいえ、「早く外して」「いつ外してくれるの?」と、ことあるごとに、イヤイヤしていました。

「夜寝るときだけとか、流動食繋いでるときだけでも、私はいいと思うんだけどねえ……」という看護師さんもいました。

 

安全帯を外し着替えさせてくれ、寝返りの処置で外した後、安全帯が外れたままのことが何度かありました。

何人かの決まった看護師さんでした。

うっかり忘れたのか故意にやったのか分かりませんが、私はラッキーと思って気付かれるまで、体の自由を味わいました。

別の看護師さんが処置でやってきて「なにこれ! 外れてるじゃない!!」と焦りながら安全帯をし、部屋の前を通りがかった寝返り担当をした看護師さんに「外れてたよ。どうして?」と聞いていましたが、「ほんと? なんでだろ?」と言いながら、別の用事に急ぐように行ってしまいます。

 

本当に忘れていたとしても、故意にそうしたのであっても、きっと大問題です。

 

経管栄養はずっと続いていましたが、そのうち、安全帯は寝るときだけになり、最終的には安全帯を完全に外されましたから、結局、医師の判断次第なのかもしれません。

 

外れていた真相は分かりませんが、私は、つかの間の自由を与えてくれたのだと思っています。

 

 

 

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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。

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