嚥下できても外食できないんです
たまたま読んだ漫画のワンシーンが、あまりに気持ちが分かり過ぎて、心で号泣しました。
そのシーンのあらすじ
戦時中の戦場で、夕飯を食べているシーンです。その中の兵士Aは利き手を負傷して動かなくなりました。その兵士Aは食事時になると見当たらなくなります。
兵士Bが探しに出ると、兵士Aは物陰でこっそり食べていました。箸を左手(利き手ではないほう)で持ってなんとか掴もうとしても上手くできず、箸や食べ物を落とします。箸がまだ上手に使えないし、でも貴重な食料を落として栄養にしないわけにもいかないので、結局、茶碗を持ち口を付けて、ずるずるぺちょぺちよと音を立ててなんととか食べていました。
「なにやってんだ?」と兵士Bが出て行くと兵士Aは「あ。見つかっちゃった。いや、こんな汚い食べ方みんなの前でしたら食欲失せるだろうし、自分も左手使える練習したいけど、頑張ってるとこ見られるの照れくさいから」と笑い、またずるずるすすって食べます。
兵士Aは普段は常に明るく笑っていて隊のムードメーカーです。戦争に来る前は御曹司で育ちも行儀もいい人でした。
兵士Bもいい家の息子で、厳しく作法を躾けられた人です。
照れ笑いしながら兵士Aが茶碗にくちを付けて音を立てて食べているのが、らしく無さすぎて見てられず、兵士Bは食べさせてあげた・・・
みたいなシーンで、最後の食べさせてあげるのは、きっと兵士Aには情けないことで、でも兵士Bは兵士Aの姿が見てられず、兵士Aの恥ずかしさや情けなさに触れない方が親切だと分かっていても、手を出してしまうのですが。
私はほぼなんでも食べられるので、その気になれば、人目を気にしなければ、外食は出来ます。
でもまさに、箸やスプーンフォークを上手に操作できず落としまくりますし(時には飛ばす)、何とか口に運べても唇の感覚が弱いので口の周りに必ず当ててしまい口の周囲べたべたで、食事中ティッシュを何枚も使いますし、口の中に入ったものを咀嚼しているときに、弱い唇で咄嗟に捕まえられず食べこぼしますし、嚥下できると言っても嚥下は弱いので何度もごっくんごっくんと力一杯(音を立てて)飲み込みますし、その大振り?な嚥下は空気も飲んでしまうそうで、予告なく止めようがなくげっぷが出ることが増えました。
この状態を他人に見られたくないから、大好きな外食には一切行っていません。
友人が見舞いにきたいと言っても、気持ちはすごくありがたいんだけど、一緒に食事をしてそんな状態見せたくないですし、歩行やしゃべり方やへんな声など、ほかにも、私自身が見られたくない、聞かれたくないと思うので、申し訳ないですが断っています。
家族や介助が出来る資格を持った友人からは「食事介助してあげても行けない?」と言われるのですが、「食事介助」されること自体に、抵抗があるのです。
兵士Bの優しさも哀しさも、私の家族や友人の優しさも分かりますしありがたいのですが、自分はとにかくみっともないところを見られたくないのです。
介助はやっぱり必要な部分はたくさんあります。
でも食事介助を他人に見られたくない。
汚い食べ方を他人に見られたくない。
使えないと分かっていても出来れば自分で箸を持ち、使えるようになりたい(未だに進歩はないですが)
病気前は週に1度以上は外食するくらい外食が大好きでした。
今は、まだ行けません。
まだ。
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☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。
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