新あんこのログ

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脳出血(脳幹延髄小脳)障害2要介護2

回復期病院③悪い人じゃないんだけど、たまに強烈なことをしてくれる看護師Sさん(その1)

私の部屋は4人部屋でした。
急性期の差額無しの大部屋が4人部屋だったのに、このリハビリ病院の4人部屋は差額ありです。差額無しの大部屋が8人部屋。
夫が狭さや人の多さが苦手な人なので「差額払っていいからせめて4人部屋に」と言うので、4人部屋。
差額と言っても1日たしか、2、3,000円だったと思いますが、でも月にしたら大きい。

あってよかった生命保険……

私は廊下側のベッドでした。
最初にお部屋にいたのは、 

同列窓側:Aさん70代
脳梗塞
娘さんが私くらいの年で仲良くなりました\(^o^)/

洗濯をもって週に2,3回面会に来て、筆談したり、話すというか意思の疎通は普通にしていたので、おそらく、頭はほぼしっかりしていたんだと思います。
ただ、全く動けないでもう拘縮が始まり、不随意運動であちこち叩いてしまい、あざや傷が絶えない人でした。
声を出すことも出来ないし、頷くなどの行動も思うように出来ないらしく意思の疎通が難しい。
ナースコールも押せないので、唸りながらも看護師さん呼べないと、枕元にあるたくさんのぬいぐるみをベッドの外に放り出し、周囲に気付かせていました。
それに気付くと私は車いすに移乗し、Aさんのところに行って「どうしたの? 看護師さん呼ぶ?」と聞くんですが、不随意が強いので頷いているのか、首を振っているのか判断できません。
だから「暑い?」「寒い?」「おむつ?」など聞いているうちに、だんだん、なんとなく言いたいことがわかるようになり、「ちょっと待ってて。私できないから看護師さん呼んで来る」とナースステーションに行って「Aさん、暑いみたい。カーテン閉めてあげて」などしていました。

が。

たしかにAさんは一見、意識混濁の人に見えなくはありません。頷きさえ、判断難しいんですから。
リハビリも、療法士さんがベッドに来て拘縮が進行しないよう、ストレッチする程度でした。
とはいえ、本人のベッドの前で娘さんが、母はリハビリ室でリハビリ受けられるようにならないのか、のような質問を看護師Sさんにした時、

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看護師S「もう無理ですねえ。ここまで拘縮進んでしまうと。うちの病院にはあと〇ヶ月いれますが、この後行く場所は考え始めた方がいいですよ」
娘「家で介護は無理ですか?」
看護師S「うーん、難しいと思います。ヘルパーさんに入ってもらうにしても、Aさんは体温調整もうまくできてないし、意思疎通も難しいし、娘さんがつきっきりで診ないといけなくなっちゃうので、施設の方がいいですよ」
娘「そうですか……老人ホームとか?」
看護師S「老人ホームもどうかなあ……老健とかでも受け入れてくれるようなところ探さないと。Aさんくらいになると、どこでもってわけでもないので。あとは緩和ケアですねえ」
娘「緩和ケア……」
看護師S「うちの系列の関連(老人)施設もいろいろありますが、Aさんレベルで受け入れるところはないので、施設探しは難しいですよ。速く探し始めておいた方がいいですよ。うちは〇月まではいられますし、しっかりお世話しますので、そこはご心配なく」


私はこの話を隣のベッドで聞いていて、唖然としました。

この看護師Sさんはベテランで明るく、仕事もテキパキしていて、普段はAさんの面倒見も人一倍よく、悪い人ではないのですが、なんというか、仕事上でスパッと情を切り離すことができるのか、だとしても、本人の前でする話じゃないだろう、と。

娘さんもさばさばしている人で、あまり悲観的な様子は見せませんでしたが、さすがにそのときは、二人とも廊下にいるときに(部屋の掃除とシーツ替えで、廊下に出ていた)

娘「さっき看護師さんと話したんだけど」
私「聞いてた! ひどかったね!( ˘•ω•˘ )」
娘「だよね。そう思うよね( ˘•ω•˘ )」
私「Aさん、ちゃんと言ってることわかるのに」
娘「あんこさんも意思疎通できてる? あんな話するから、私のときだけしっかりしてるのかなと思っちゃった」
私「うん、分かってるよ。Aさん、ボケてすらいないじゃん」
娘「だよね」
私「看護師さんたちだって意思疎通してるし、私もAさんの言いたいこと、最近だいぶわかってきたし」
娘「本人の前でとは思うけど、でもまあ、あの人も良かれと思って施設探せって言ってくれたんだろうし、しょうがない。探すしかない」


 この二日後くらいに、Aさんの朝一番の担当看護師さんが、看護師Tさんだったんですが、このTさんが一番患者思いの優しい人だったので、AさんもTさんが好きだったんだと思います。
Tさんが「Aさんおはよう。ご飯行くから、車いす乗ろうね」
と来たらAさん泣きだしちゃったみたいで、Tさんがびっくりして「あら! どうしちゃったの?」と言ったら、Aさん、蚊の鳴くような声しか出ないのに、声を出して号泣し始めたんです。
真相はわかりませんが、たぶんあの件だ、と私は思いました。
おせっかいだとは思いますが車いすでAさんところ行って「Aさん、泣かないで! わかってるよ! ここはお医者さんがいるんだから! ね!」
と言ったら、Aさんも元はしっかりしている人なので、泣くのを堪えはじめました。その間、Tさんがおろおろと「うさたんのぬいぐるみ連れてこうか? ひつじさん?」とか必死に和ませていたので、私たちに、

 ありがとう。泣いてごめんね

というようなわずかに笑顔を作り、朝食にいきました。

 

 

Aさんは、病前はインテリでおしゃれで活発な自立したおばあさんだったそうです。

それなのに、なにもかも人の世話で生きていることすら辛く、だから、すべてわかっているうえで、みんなの介護も感謝し、理解していたんでしょうし、わがままでこれ以上、娘や看護してくれる人に心配や迷惑はかけたくないと思っていたんじゃないかな、と思ってます。

 

看護師Sさんには、私も別件でやられたので、またそのうち書きます。

 

 

 

*****

☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。

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