理学療法士≠マッサージ師
私の通っているデイサービスには、常時PTがいます。
20分ですが、PTに直接見てもらえる時間もあって、このデイサービスにした決め手は、PTに診てもらえる時間があったことです。
しかし、せっかくのPTの時間は「マッサージの時間」のようになっています。
これはここに限らず、理学療法を受ける立場側の、 誤った認識が招いた結果だと思います。
利用者さんは「PT」という言葉の意味も分からない人がいて、半数くらいの利用者さんは「〇〇さん、PTの時間ですよ」と言われても「PTってなんだっけ?」とか「マッサージね」と答えます。
「〇〇さん、今日はどこやりましょう?」「腰が痛いから腰お願い」みたいな会話がされます。
リハビリ病院のPTさんが言っていたのですが、入院患者さんで、すでに訪問リハやデイサービスの経験がある場合「この病院のPTは運動ばかりやらせて、マッサージをあまりしてくれない」と怒る人もいるそうです。
それだけ、デイサービスや訪問リハのPT,OTに対する感覚って、利用者さんには「マッサージ師」と思わせる施術になっているのが多いのではないでしょうか。
私が通っているデイサービスも、やはり「理学療法士(PT)≒マッサージ師」のような位置づけになっています。
数人のPTの誰が、その日の担当になるかは分かりません。
人によって差はありますが、現在のところ、大半のPTはマッサージしかしてくれません。
始めの数回は、そこでは詳しいと思われる人が担当してくれて、体や機能の状態を見たり、機能回復のためと思われる施術がありました。
とはいえ、たった20分を週に2回ですから、すぐに戻ってしまいますし、このセラピーだけで回復まで持っていけるとも思ってはいないのですが、原因や回復のためのアプローチに必要なことなどの知識は付きます。
とうとう、ほかの利用者さんのように「今日はどこやりましょう?」と初めて言われました。転職できた経験の浅い若い方でした。
最初が肝心と思ったのもありますし、もし先輩諸氏から「ここでは、利用者さんはマッサージだと思ってるから~~」とレクチャーを受けているなら、それは困る、私はマッサージじゃなくて理学療法的見地で見てほしい。
「え? 動き見て判断するんじゃないの? 素人の私にはわからないからお願いしてるんですけど」
と返したら、焦ったように
「いや、そういうわけじゃないですけど、どこか調子の悪いところあったら、そこを中心に……」
「調子ならいつもと変わりません。あちこち痛いけど、それは正しく動作出来ていないから、痛くなる原因になるんだよね? 歩いてみる?」
……というやり取りをし、なんとなくそれっぽい施術で濁されました。
しかしその後、そのPTさんは、しばらく私の担当はしませんでした。
はったりでも、機能回復っぽい施術は出来ないらしく、20分マッサージを望まない私には向いてないと思ったのかもしれません。
そのPTさんは、マッサージしているところしか見たことがありません。
「本当にPTの資格持ってるんだろうか?」と疑うほどです。
さすがに資格詐称はしてないと思いますが。
そのデイサービスの理念は、間違いなく「機能回復」のはずなのですが、「デイサービスのシステムに機能回復まで望むのは無理がある」と言われれば、その通りだとも思います。
最近は、「デイサービスは運動不足を解消するところ、マッサージしてくれるところ」と思うことにしています。
そう思うようになったきっかけは、数少ないマッサージ以外のことをしてくれるPTさんに「あんこさんは悩ましいんですよね――うーん、難しい――どうしたらいいんだろう?」と言われ、結局そのあとの施術も悩み悩みで、それらしいことをやっている(振りの)ような感じだったからです。
セラピストさんにとっても分からない症例があって当然だと思いますが、それを言われてしまうと、もうそのあと、どんな施術をされても、(とりあえず『それらしく』見えることやってるだけじゃない?)と疑ってしまいます。
担当医師に不信感を持ったら、別の病院を探せばいい。
美容院が気に入らなかったら、もう行かなければいい。
デリバリーで頼んだピザがまずかったら、もう頼まなければいい。
もう会わなければ(行かなければ)いいんだし、相手もほとんど気づかない。
気付いたとしても「嫌われたかなあ?」と推測するまででしょう。
でも、リハビリ病院に入院中の担当セラピストや、デイサービスのその日の担当セラピスト、訪問リハの担当セラピストは、そう簡単には変えられないのです。
「担当者」を変えることは、どのパターンでも可能です。
しかし心情として、変えづらい。
上手にやらないと、相手を傷つけてしまうかもしれないから、上手に変えるにはどうしたらいいんだろうと悩ましくなるという意味で「変えづらい」のです。
リハビリ病院は、私の場合、期限ぎりぎりの5か月いてもおかしくなかった。
それでも2か月半で、半ば無理矢理退院しました。
その理由の一つが「ここであと2か月半リハビリを続けても、今と大して変わらないだろう」という確信があったからです。
他に良くなる療法があるのかは全然分からないし、そもそも、これ以上のものはないのかもしれない。
そうだとしたら尚更、辛い入院生活を続けるより家に戻りたかった。
リハビリ病院の担当PTさんやOTさんとは仲が良かったですし、訓練にも真摯に向き合ってくれていたと思います。
でも、療法に対してまるで無知とはいえ、このやり方で良くなるとは思えない、という思いが、私には常にありました。
担当者は変えることは出来ますが、ここで出てくる変えづらさ。
リハビリ室には、ほかにもたくさんのセラピストが患者さんに対して機能訓練していますし、担当者が休みの日は違うセラピストが来ますから、やり方がセラピストによって違うということは分かります。
でも、どれも「これだ!」と感じることはありませんでした。
勇気を出して担当者を変えてほしいと言えたとしても「〇〇さんに担当してもらいたい」という人もいなかったのです。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は、少なくとも4年みっちり勉強して、学費もかかって、国家資格を取っているのです。
なのになぜ、もっと自分の資格にプライド持たないのかなあ
……持ちたくても、需要がそれを許さないのもあるのでしょう。
仕事の専門性の割には、報酬面や職業地位が高くないのもあると思います。
でも、プロ意識の低い人もやっぱりいると思います。
もちろん、マッサージ師がだめだと言っているわけではありません。
それはそれでプロですし、各種マッサージ系の職種の中には国家資格が必要なものもありますし、実際、健常な頃は年中、各種のマッサージにお世話になっていました。
リハビリが必要な今、もっとも頭を悩ませられるのはセラピスト。
セラピスト次第で、今後の人生左右されると思ってますから。
だけどセラピストは選べない。選べないというか、選びづらい。
というか変えづらい。
そして探しづらい。
とりとめのない文章になり、まとめようもなくなってしまいました。ごめんなさい。
*****
☆この記事は2010年代初出のものを身バレ防止のため時期をぼかしてリライトしています。
以下、2つ、それぞれクリックしていただけると、ブログサーチでランキングが上がり、結果的に、検索エンジン(GoogleやYahoo!)の表示順位が上がります。 この病気の当事者の発信する情報が少ないので検索でなかなか見つかりません。
ご賛同いただけるようなら、お手数ですがクリックしてください。